かるがも俳句会 平成29年2月16日(木)、石神井公園区民交流センター
- そつと聞く孫の初恋桃の花
- 森永 順子
- 一人居の昼餉干鱈のひとあぶり
- 高橋 武司
- 恋猫の知り尽くしたり路の道
- 宮田 敏子
- 枝先の丸みおかしや寒雀
- 野々村 桂
- 淡雪を纏ひつ友の帰りけり
- 鈴木 芳江
- こんな日は具を沢山の納豆汁
- 渡部 良子
- 母鳥を思ひつ溶かす寒卵
- 伊賀 篤志
- 歌留多取る思ひ出語る寒の通夜
- 長束 瑠美子
- 君想ふ苦き初恋バレンタイン
- 山田 輝子
- 冬霞川鵜大魚をもて余す
- 倉島 恒子
- 土俵入一目見やうと明の春
- 杉本 康子
- 上京の娘が雨と来て冴へ返る
- 柴田 ミチ子
- 友の描く切れ長の目のひひなかな
- 熊谷 良子
- 初午や数へてくぐる朱の鳥居
- 馬場 美智子
- 紅梅や木立の上の空の色
- 鳥居 とく
- 椿落つもんどりうつて上向きに
- 堀江 康子
- 寄鍋や家族といふも夫ひとり
- 国岡 博子
- 囀や百の乳ある大銀杏
- 今村 たかし
「パソコン」の普及により世の中は大変便利になっている。文章は簡潔に、伝達は早く、状況把握も容易である。スピード時代には欠かせない。仕事や活動には最良の手段である。そんな時代でも時間を要する「手紙」が見直されているようだ。温もりが伝わり、心に響くからであろうか。日本語は語彙が豊富で、繊細で賢い。心のこもった自筆の「手紙」は見て美しく、貰って嬉しいものである。「俳句」の場合はどうであろう。特徴として、僅か十七文字の中に季語、景色、時間帯、人柄、心理情景などの表現が可能だ。さらに感動まで伝えられるのも凄い。読み手の想像力に委ねることも日本的で素敵だと思う。特有なことばや読み方や制約はあるが、学び親しむ過程は面白く、句作りにより癒されることもある。この不思議で興味深い世界に魅力を感じ、知れば知るほど奥も幅もあるこの「俳句」を私は一生続けたいと思っている。そして続ける中で人として成長できる何点かに気付いたこの頃である。(芳江)