かるがも俳句会 平成29年9月21日(木)、石神井公園区民交流センター
- 秋風に乗り九秒を駆け抜ける
- 渡部 良子
- 補陀落に近き足摺秋遍路
- 高橋 武司
- 捨てかねて残す簾や秋暑し
- 馬場 美智子
- ふる里の街並古りぬ秋しぐれ
- 宮田 敏子
- 亡き父の声聴きたくて秋の雨
- 千味 幸太郎
- 急湍の石青さぎの足すべり
- 熊谷 良子
- 幸せのひとつのかたち秋ともし
- 沖田 顫童
- へちま水ほほ手に掬ぶ獺祭忌
- 伊賀 篤志
- 彼岸花いつもこの時亡き父と
- 丸田 勝弘
- 絵本展ちひろの庭に葉鶏頭
- 倉島 恒子
- 禁断の蜜の滴る良夜かな
- 伊勢 史郎
- 公園の遊具にかかる秋夕日
- 杉本 康子
- 子の踊る野外劇場蝉しぐれ
- 長束 瑠美子
- 揚花火大曲の雄叫び雨に消ゆ
- 鳥居 とく
- 磯鴫や津波来るまで此処は街
- 猪越 紀子
- 帰り道気づけばそこに曼殊沙華
- 山田 てる子
- 大壺の秋の七草式台に
- 堀江 康子
- 秋天やくづれて直す組体操
- 今村 たかし
今日は八月十五日、亡くなられた国岡博子先生にとっては初めてのお盆にあたる。私は「かるがも俳句会」に入会してまだ三年に満たないが、どんな駄句でも良く読んでくれて適切な助言を戴いた。先生が旅立たれてから、もう一度先生の句集「万両」を読み返してみた。素晴らしい句が並んでいるが、特に旅先の句が素晴らしい。私も人に負けずに旅が好きで旅先の句が多いが、とても先生の足元に及ばない。「見惚れゐる海夕焼けの五能線」「万緑の山負う伊根の舟屋かな」私もこの二つの句の現場に旅しているがこれほど的確な描写をする句を詠めない。やはり私との差は先生の人格と豊かな文学的素養にあると思う。「火種欲し一茶旧居の囲炉裏かな」まさに名句だ。これは現場に行った人しか詠めない。この句会は良き指導者をなくした。新盆にあたりあらためて先生のご冥福を祈りたい。合掌(たけし)