16 6月

2017年6月例会より

かるがも俳句会 平成29年6月15日(木)、石神井公園区民交流センター


病棟に夜の静寂や水中花

蛍の遠き記憶の中に飛ぶ

看護師のかいな眩しき更衣

郭公や朝餉のパンの香ばしき

もしかして虹は天使のすべり台

高原の風吹きわたり栃の花

あぢさゐの咲きて開けたる仏間窓

運動会負けても笑顔さくらんぼ

風青し古き港の赤灯台

水色の靴や男の更衣

槍沢のテントの窓に穂高岳

パンダの子泣き声高く梅雨晴間

門前に遍路宿あり浄瑠璃寺

児の好きな梅ジュースできて日曜日

初めてのキスは血の味木下闇

涼風の中禅寺湖にテイタイム

先頭は戸棚の砂糖蟻の列

ハンカチを握れど心定まらず

風にまた風の吹き次ぐ青田かな

宮田 敏子

熊谷 良子

千味 幸太郎

馬場 美智子

森永 順子

渡部 良子

鈴木 芳江

山田 輝子

鳥居 とく

野々村 桂

伊賀 篤志

長束 瑠美子

高橋 武司

倉島 恒子

伊勢 史郎

杉本 康子

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


四月の初め頃、皇居のお堀に沿ってぐるりと一周してきました。ランニングコースとして有名ですが、のんびりとマイペースで歩くのも楽しいものです。新緑の色に染まったお堀を眺めつつ大手門、平川門、乾門など数々の門があります。かたや道路の向こうには近代的なビル群や歴史ある建物を見ることができます。一周5キロ、一時間ほどの散歩ですが、皇居の自然と歴史そして大都会東京の今を感じる素敵な散歩コースでした。次は紅葉の頃に歩いてみたいと思います。(順子)

20 5月

2017年5月例会より

かるがも俳句会 平成29年5月18日(木)、ふるさと文化館


山二つ遠くにおきし青田かな

可も不可もなくて二人の春の旅

むらさきの鉄線の色母の色

金雀枝や父母の待つ家明り

槍穂高まだ薄化粧の山開き

野菜苗植ゑて私の黄金日

ざはざはと足音耳に花疲れ

ゴールデンウイークの今年も残業だ

逝きし妻に今日も供へる柏餅

緑陰や社を守る幹太し

気負なくてらひもなくて著莪の花

春眠の嬰のあくびに欠伸かな

著莪の花越後の里へ峠越

散歩する翁と猫と春の畦

戸隠の余花や異界に咲きにけり

うつかりと笑つてをりぬ烏賊の墨

雲一辺美濃路に声の揚ひばり

まろび出て花粉まみれの熊ん蜂

母の日の花の大箱もて余す

千味 幸太郎

宮田 敏子

倉島 恒子

野々村 桂

鈴木 芳江

渡部 良子

鳥居 とく

山田 輝子

伊賀 篤志

馬場 美智子

高橋 武司

森永 順子

柴田 ミチ子

長束 瑠美子

猪越 紀子

伊勢 史郎

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


東京では桜もすっかり青葉となってしまったが、北の原野では春が始まったばかりである。固く積もった雪の下でチョロチョロと雪解け水の流れる音が聞こえ、真っ先に雪が解ける川辺には様々な緑が萌えだす。やがてすべての雪が消えると、まるで原野の生命が甦るかのようにあらゆる緑が芽を出し、水辺の水芭蕉が白い苞と緑の葉を見せ始める。中には巨大になるものもあり、尾瀬の水芭蕉のようにかわいいとかロマンチックといったイメージと全く違うものとなる。桜が咲くのは5月の中旬か下旬。そして、春の花も夏の花も一斉に咲く北海道東部の遅い春は、まるでため込んだエネルギーを爆発させるかのように短い夏に向かって行くのである。(W.良子)

30 4月

2017年4月吟行より

かるがも俳句会 平成29年4月27日(木)、見沼通船堀公園吟行


木道に木漏れ日さして竹の秋

そよ風のひとひら落す竹の秋

八重桜花の下にも花積みて

軒先に玉ねぎ干され風きらら

落ちてなほさらに色なす桜かな

春陰や通船堀の水ゆるむ

菜の花の川の流れを見てをりぬ

青き踏む吟行会に初参加 
     
著莪咲くや通船堀のささ流れ

風薫る女体新橋渡らうか

千味 幸太郎

熊谷 良子

渡部 良子

長束 瑠美子

森永 順子

伊賀 篤志

倉島 恒子

鳥居 とく
      
国岡 博子

今村 たかし


JR武蔵野線「東浦和」駅から約10分程で公園に着いた。見沼通船堀(=みぬまつうせんぼり、国指定史跡)は享保16年(1731)に開通したわが国最古の木造の閘門(こうもん)式運河である。本流の芝川と用水との水位差が3mあったので、関を設けて水位の調節を行い船を運航した。この通船堀の開通により、荒川、隅田川を通り江戸へは農作物や、薪、柿渋、味噌、醤油などを運び、江戸からは肥料や、油、日用品などが、運ばれた。昭和6年、約200年続いた見沼通船は役目を終えた。訪れたときは、八重桜がほろほろと散っており、堀の周りには菜の花や著莪の花が一面に咲いていた。また竹林がとても美しかった。何でも屋のお婆さんは、戦争のときは東京が真っ赤に燃えていたと話していた。その家の軒先には玉ねぎが干してあった。堀には女体新橋という名の橋が架かっており、附島氷川女体社本社という社もあった。女体がどう関係あるのかは不明である。幕府から通船の差配役を任されていた鈴木家の住宅(江戸後期の建築)も残っている。今回参加の10名はその後、秋津へ行き、不二家で昼食と句会を行い散会した。好天にめぐまれた一日であった。(たかし)

21 4月

2017年4月例会より

かるがも俳句会 平成29年4月20日(木)、石神井公園区民交流センター


ピアニカを吹く少年や風光る

余生などなき父の忌や蜆汁

亡き妻は四国の旅か涅槃西風

教へ子が競いて摘みし土筆煮る

幸せはふとした時に菫草

佐保姫の裳裾の触れし野山かな

腰下すベンチの温み花疲れ

本心を四月の嘘に隠しけり

出迎への母に甘ゆる新入生

幼子とおはぎまるめる彼岸かな

清明や新人スーツの衿白く

風薫る媼翁のコーラスに

父母の亡き庭で集めし桜蕊

さらさらと花びら走る朝の路

煩悩に数えあまたの除夜の鐘

花の雲母を施設に預け来て

老幹に花芽を噴けるさくらかな

花吹雪また花吹雪過疎の村

千味 幸太郎

宮田 敏子

伊賀 篤志

猪越 紀子

森永 順子

渡部 良子

馬場 美智子

伊勢 史郎

熊谷 良子

倉島 恒子

柴田 ミチ子

鳥居 とく

鈴木 芳江

長束 瑠美子

丸田 勝弘

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


最近豊島区の健康長寿医療センターへ行く機会があり、ロビーに座っていると、八十歳過ぎの疲れ果てた感じの妻が足を引き摺り夫の車椅子を押して来た。私の隣に座った途端に居眠りを始め、其の横顔は深い皺が刻まれて顔色が悪い。夫の方が顔色も良く本当に元気そうに見える。この様なカップルが多く、これが老々介護の現実です。都会に住む私達には核家族化が進み、今は長寿天国と成ってこの悲劇と成ったのでしょう。老々介護の現実を見て、女性はもっと自分自身を大切にして健康に生きるべし、とつくづく思う昨今です。(ミチ子)

17 3月

2017年3月例会より

かるがも俳句会 平成29年3月16日(木)、石神井公園区民交流センター


最上路はまだ雪の中茂吉の忌

早春の山に抱かるる和紙の里

吊橋の中ほどに来て春の風

六度目の春巡り来てなほ仮設

卒園児大きく返事桃の花

春一番街路樹さわぎ月おどる

枝渡る小鳥の影の春障子

住み慣れし此処もふる里梅の花

枕辺の本とラジオや春燈

夕闇を押しのけて咲く紫木蓮

春光や大鷹鳴いて巣作りす

春一番空も鉄路もままならず

菜の花と司馬遼太郎歴史旅

一勢に空見ゆ蕾白木蓮

花しどみ妣の声かと振り返り

あるがまま生きるは難し四温晴

軽鴨とわれの棲む星水温む

高橋 武司

熊谷 良子

杉本 康子

渡部 良子

宮田 敏子

伊賀 篤志

柴田 ミチ子

馬場 美智子

野々村 桂

猪越 紀子

倉島 恒子

鳥居 とく

長束 瑠美子

鈴木 芳江

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


三月五日に岩槻市の「まちかど雛めぐり」という催しに行った。三日もすぎ人形店の店先は早くも五月人形に入っていたが、その中で何軒かの店に昔からのひな人形が何体も飾られていて、古いのは享保雛から新しいのは金髪の内裏様までありびっくりした。又愛宕神社には階段一段ごとに人形がびっしり飾られて多くの人々が感心をして写真を撮っていた。駅前に戻ると子供等の扮装する可愛いおひな様パレードなどもみられ楽しい一日をすごすことができた。埼玉は雛人形の生産日本一とのこと、他の地域の雛祭り巡りも往きたいと思った。(K.良子)
23 2月

2017年2月例会より

かるがも俳句会 平成29年2月16日(木)、石神井公園区民交流センター


そつと聞く孫の初恋桃の花

一人居の昼餉干鱈のひとあぶり

恋猫の知り尽くしたり路の道

枝先の丸みおかしや寒雀

淡雪を纏ひつ友の帰りけり

こんな日は具を沢山の納豆汁

母鳥を思ひつ溶かす寒卵

歌留多取る思ひ出語る寒の通夜

君想ふ苦き初恋バレンタイン

冬霞川鵜大魚をもて余す

土俵入一目見やうと明の春

上京の娘が雨と来て冴へ返る

友の描く切れ長の目のひひなかな

初午や数えてくぐる朱の鳥居       

紅梅や木立の上の空の色

椿落つもんどりうつて上向きに

寄鍋や家族といふも夫ひとり

囀や百の乳ある大銀杏

森永 順子

高橋 武司

宮田 敏子

野々村 桂

鈴木 芳江

渡部 良子

伊賀 篤志

長束 瑠美子

山田 輝子

倉島 恒子

杉本 康子

柴田 ミチ子

熊谷 良子

馬場 美智子

鳥居 とく

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


「パソコン」の普及により世の中は大変便利になっている。文章は簡潔に、伝達は早く、状況把握も容易である。スピード時代には欠かせない。仕事や活動には最良の手段である。そんな時代でも時間を要する「手紙」が見直されているようだ。温もりが伝わり、心に響くからであろうか。日本語は語彙が豊富で、繊細で賢い。心のこもった自筆の「手紙」は見て美しく、貰って嬉しいものである。「俳句」の場合はどうであろう。特徴として、僅か十七文字の中に季語、景色、時間帯、人柄、心理情景などの表現が可能だ。さらに感動まで伝えられるのも凄い。読み手の想像力に委ねることも日本的で素敵だと思う。特有なことばや読み方や制約はあるが、学び親しむ過程は面白く、句作りにより癒されることもある。この不思議で興味深い世界に魅力を感じ、知れば知るほど奥も幅もあるこの「俳句」を私は一生続けたいと思っている。そして続ける中で人として成長できる何点かに気付いたこの頃である。(芳江)
30 1月

2017年1月例会より

かるがも俳句会 平成29年1月19日(木)、石神井公園区民交流センター


霜柱踏めば命の音たてり

冬晴れの忍野八海水清き

旧年のお礼にとどめ初詣

大晦日家事計画はくずれゆく

大福を雑煮で食べる伊予の夢

白銀の立山眩し初詣

地に足を瞳を星に年始

木の間より透かし見る富士初御空

松過ぎの買ひ置きで済む厨事

青学の箱根マラソン去年今年

風花や石になりきる辻地蔵

湯の町の除雪はじまる朝の音

初弁天家族の数の銭洗ふ

宮田 敏子

杉本 康子

高橋 武司

長束 瑠美子

伊賀 篤志

柴田 ミチ子

渡部 良子

熊谷 良子

馬場 美智子

鳥居 とく

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


ドラルド・トランプUSA第45代大統領が1月20日に就任した。アメリカ第一を公約に掲げ、世界の様子が大きく変わろうとしている。日本も例外ではない。今年は激しい年になりそうである。先日、千葉の本埜(もとの)へ白鳥を見に行ってきた。JR成田線の小林駅から徒歩30分の田圃の中である。数年前に一羽の白鳥が来て餌付けをしたら、年々数が増えてきたという。その日の朝は約900羽来ていたというが、餌付けの後はどこかへ出かけてしまうとの事で、訪れた11時頃は一羽も居なかった。でも、近くの別の田圃に数十羽佇んでいたので写真を撮ってきた。2月初めには徐々に北へ帰るそうだ。地元の農家の方の話では、白鳥は家族愛が非常に強く、家族を守るためなら戦いもするそうである。優雅な白鳥もトランプ氏と同様気性は激しそうである。(たかし)
19 12月

2016年12月例会より

かるがも俳句会 平成28年12月15日(木)、石神井公園区民交流センター


皇帝はかくあるべしと冬の庭

凩が雲はがしたり星月夜

病上がり母の杖借り小春日に

腰痛を騙し騙しの年用意

初雪や犬と子供の靴のあと

腰布団両手に載せて妻思ふ

落葉掃く箒に遊ぶ子犬かな

冬紅葉古き空家を明るくし

冬至南瓜夫と二人の暮らしあり

千両の実の赤々と年の暮れ

夜を更かし友と語らふ熱燗で

もてなしや町の主の熊手市

大なべの出番はなくて年用意

葦枯れて波だぶだぶと湖中句碑

ホホホいま女もワハハ花八つ手

渡部 良子

鈴木 芳江

宮田 敏子

森永 順子

熊谷 良子

伊賀 篤志

柴田 ミチ子

杉本 康子

馬場 美智子

長束 瑠美子

丸田 勝弘

鳥居 とく

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


顧みて「光陰矢のごとし」とは言い得た言葉と、妙に納得出来る齢となりました。歳晩にあたり私もこの一年を自己の拙句で振り返って見たいと思います。
「東京に生まれ棲み古り年新た」
「海鳴りの宿に一夜を周平忌」
「煮凝りや義理欠くことも老いの内」
「あけぼのの遮莫恋の猫」
「佐保姫の微笑み返し佐久郷」
「軽鳧の子とふるさといつに寿(いのちなが)」
「南風の海サーファーすつくとたちあがる」
「ほんたうの死まで生きるよ蛇の衣」
「流燈会男の子もゆるく帯しめて」
「われにある悪女ちよつぴり酔芙蓉」
「帰るさのハイカー提ぐ烏瓜」
「いくばくの喜捨に寧ぐ十二月」
行く年来る年、さあ来年はどのような句の年になるでしょうか。飛躍あるのみです。(博子)
29 11月

2016年11月吟行より

かるがも俳句会 平成28年11月23日(木)、林芙美子記念館・巧運寺吟行


遺されし絶筆の軸冬座敷

松二本ありて冬ざれ吉良の墓

君生きし昭和は遠く石蕗の花

ふところの大き男や花八手

縁側に初雪みてをり芙美子の居

灯籠の苔むす笠に雪つもる

手擦れたるままに芙美子の丸火鉢

裸木のぽつんと墓に女声

馬場 美智子

宮田 敏子

森永 順子

野々村 桂

杉本 康子

熊谷 良子

国岡 博子

今村 たかし


今回の吟行は11月24日、中井の「林芙美子記念館」および「萬昌院功運寺」でした。参加者は8名。東京で史上初めて11月に積雪が記録された中での吟行になりました。中井駅をおりて、坂の多い街を抜け、急な「四の坂」を雪の中上がると「林芙美子記念館」です。狭い間口のわりに中は広く、昭和十六年の建物にしては整った設備に驚かされます。庭園には芙美子が愛した草木に雪が降り積もる美しい光景に感動しました。芙美子記念館をあとにし、移動した先が「萬昌院功運寺」。偉人の墓が多くある寺で、林芙美子のほか、吉良上野介や歌川豊国などが埋葬されています。芙美子の墓には躑躅の返り花が咲き、吉良上野介の墓には松があります。忠臣蔵のことを考えると、松には違和感を覚えました。弱くなった雪の中、句会場となる「木曽路」に移動。美味しい食事に気分も高揚しました。雪の中でしたが、貴重な体験ができ、楽しい句会でした。(敏子)
19 11月

2016年11月例会より

かるがも俳句会 平成28年11月17日(木)、石神井公園区民交流センター


かんざしの落ちてべそかく七五三

石庭に秋の声聞く竜安寺

人生の自由時間の天高し

親方の手直す弟子の松手入

やすらぐやこの小春日は黄泉に似て

袋田の滝の裏山冬紅葉 

どんぐりの実を踏む音も雨の中

木枯に足元よろけ通夜帰り

秋深し雲の見本のやうな空

伊予や今メールで祝ふ柿の里

中秋や川面に映る月うさぎ

くちなしや住み人待つる門の内

小春日の出窓に猫の万歳寝

木の葉降る織部灯籠にマリアかな

冬うらら都電の駅におしるこ屋

熊谷 良子

杉本 康子

森永 順子

馬場 美智子

高橋 武司

宮田 敏子 

鈴木 芳江

柴田 ミチ子

渡部 良子

伊賀 篤志

丸田 勝弘

鳥居 とく

堀江 康子

国岡 博子

今村 たかし


月日の経つのは早いもので、あっという間の十年でした。元来私は歌ったり踊ったり体を動かすことが好きですが、ある日俳句をやってみないかと人に誘われた時、ふと思いました、当時六十四歳でした、体力的にも限界がある、それならこれからは俳句だ。やってみよう!というのが始まりでした、そして今に至ります。あまり進歩はないようですが、先生はじめ皆様に励ましのお言葉を頂くたびに、頑張ろうという気持ちになります。「自分なりに楽しもう」「あまり評価を気にせずに」良い意味の開き直りで今はやっています。吟行も楽しいです、皆様と同じ目的に向かって歩きながら会話をしたり、突然無口になって真剣な眼差しになって見つめていたり、一人一人の表情を見るのも面白いです。これからも自然体で明るく過ごしてまいります。皆様よろしくお願いします。(S.康子)