22 12月

2022年12月例会より

かるがも俳句会 2022年12月15日(木)、石神井庁舎


凍る夜の独り夕餉や鍋の湯気

大空にスーラの点描万の柿

着ぶくれて三日坊主のランニング

切り分かつ妻なき夜の聖菓かな

青空をつかむ勢ひ実南天

吾子の手に今朝の寒きを計りけり

校長が子ら出迎へる雪しまき

ふる里の昼の温みや吊し柿

オリオンを置き去りにして「きぼう」ゆく

冬の日の背にはりつく散歩かな

吹き溜まり枯葉寄り添ふごとくあり

空っ風低空飛行のレジ袋

お下がりの靴に兄の名冬ぬくし

(次回例会は1月26日、石神井庁舎5階第6会議室です)

多田 克己

早川 厚

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


十二月の初めに、東京都区現代俳句協会の四十周年記念大会へ二十句出句するために明治神宮へ出かけた。東京はコロナが増えているというのに外国の方が多いのに驚いた。小春日の天気に恵まれ、少し遅い七五三や結婚式など大勢の人で賑わっていた。また、旅行ケースを引いたお稽古かお茶会かの若い女性も足早に通り過ぎて行った。御手洗でアメリカ人らしき若者二人が手に水をかけていた。この様な光景を見ていると日本ってなんと平和なんだろうと思ってしまう。気を取り直して、明治神宮御苑を回り、本殿にお参りした後、西神門から宝物殿方面へ出て、枯芝に座り暫し青空を眺めた。何とか二十句を完成させて出句した。さて、来年の結果が楽しみである。(たかし)

20 11月

2022年11月例会より

かるがも俳句会 2022年11月17日(木)、石神井庁舎


校庭はポプラ色づく丘の上

保育所の窓いっぱいにクリスマス

菜を洗ふ手もて火を挙ぐ寒さかな

空調に暦がゆれておでんかな

大江戸のべったら市の嗄れ声

新しき畳の青の寒さかな

一茶忌と言うて酒宴となる句会

天高し嫁ぐ娘の薩摩つげ

柚子たわわ見上げる子の歯みそっ歯だ

長き夜の小説いよよ面白き

冬帽子姉に似てくる背格好

落葉踏む静寂のなかの音軽し

金網に鼻出す牡鹿息荒し

(次回例会は12月15日、石神井庁舎5階第3会議室です)

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

堀江 康子

今村 たかし


エクアドル、スペイン語で「赤道」を意味する南米の国。南北半球を自らの足で跨げる数少ない場所です。ここへ円借款プロジェクトで約三年通いました。二〇二〇年、退職と同時に五輪があり、偶然にも練馬区がそのエクアドルのホストとなった為、何等かのお手伝いをと意気込んでいましたが、コロナ禍で全てが遁ズラ。以来、基本、家でぶらぶらの毎日ですが、かるがも句会を知り、意欲再燃。今では、俳句再挑戦が大切な生き甲斐のひとつとなっています。駄作は承知の上で、先ずは一日二句創る事を心がけています。(厚)

23 10月

2022年10月例会より

かるがも俳句会 2022年10月20日(木)、石神井庁舎


秋澄むやベンチに肩寄す老二人

いくたびも読み返す文月仄か

往還に角打ち見つけ秋の里

仏壇に朝日さしこむ秋うらら

山蘆忌の四囲の連山しづかなり

仰向けの案山子大の字青き空

秋高し白球一打は弧を描き

蜻蛉の影透き通る石の上

ファインダーの富士を横切る秋茜

野分去り延命地蔵に五円玉

虫の声そろそろ人は夢の中

彼岸花ふいに咲きけりそこかしこ

橋守の地蔵を飾るからす瓜

手紙出す金木犀の香に押され

淋しくて人恋しくて月見酒

大地守る案山子に雨のとどめなし

(次回例会は11月17日、石神井庁舎5階第3会議室です)

多田 克己

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


最近は新聞の小さな記事を音読しております。気になった一つを紹介します。高校から7年間新聞配達をしていた青年の話です。ある家の女性は、元旦にだけ玄関で待っていて「大変だね」と手にお年玉をのせてくれました。今春、彼は初任給で買った菓子折りを手に挨拶に来たが、彼女は入院中でした。娘さんから青年の話を聞いたお母さんは、涙をこぼして喜んだそうです。夜明け前から働く苦学生と優しい心遣いで支えた女性の心温まる記事でした。(正枝)

16 9月

2022年9月例会より

かるがも俳句会 2022年9月15日(木)、石神井庁舎


棒切れにすがる重さの秋の蟬

サンダルの肌色の爪リズムとる

駄々っ子にぢいぢ手を焼く夜店かな

さりさりと一日の褒美梨齧る

風死すやをちこち点る市井の灯

横文字の新聞尾花を包みをり

新蕎麦や古き構への床柱

メス止めて汗拭かせをり手術室

秋風や窓辺の猫におはやうさん

満月に亡き人の顔重なりぬ

畑中の蜻蛉風に逆らはず

露草や光とらへしレンズの眼

雲一片秋の気満つる法の山

秋つばめ空の広さの限りなし

(次回例会は10月20日、石神井庁舎5階第3会議室です)

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


令和二年九月にNHK俳句で放送した対馬康子先生のユニークな作句法「五段とばし」を紹介します。テーマは「心を詠む」で、ゲストの加藤諒さんのウクライナ海外詠です
一段目:原句        炎天や肉屋の前に野良犬ら
二段目:表現を整える    炎天や肉屋の前に野良犬と
三段目:設定を広げる    炎天や影あるところ野良犬と
四段目:違った物と取合せる 炎天や踊る野良犬恋人も
五段目:見えない世界へ   朝焼けの鋭(と)くたまゆらの犬走る
「野良犬」がキーワードです。一つの句を五つに作り変える対馬先生の独特の作句法です。俳句作法柔軟体操で感心しました。(亨)

21 8月

2022年8月例会より

かるがも俳句会 2022年8月18日(木)、石神井庁舎


時報後のしじま八月十五日

手花火やまだ爆ぜやうとする命

鼻緒ずれ笑顔に隠す夏デート

血圧を測る日課や秋来る

みはるかす乗鞍岳へ花野径

小坊主の姉さん被りかき氷

花火舟彼岸の人の恋しけり

駄々っ児を抱き寄する母さるすべり

夕立や軒先めざす下駄の音

蝉時雨と言へるほどの声となり

風鈴に広ごる闇の四畳半

役者絵の団扇片手に夕散歩

ついと来て信号無視の赤とんぼ

(次回例会は9月15日、石神井庁舎5階第3会議室です)

豊島 月舟斎

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


夏の季語に朱夏があるように、夏には赤を配していますが、秋は白秋・白帝等白い色に変わります。いかにも涼しげです。花は夫々複数の色の花をつけるのが多いですが、私は秋の白い花が好きです。例えば、木槿、白芙蓉、秋桜、白菊等いかにも清楚で、 日本人ごのみです。白萩。「白萩のしきりに露をこぼしけり」子規の有名な句です。水引の花で白い花をつけるのは銀水引と言うそうです。そして曼珠沙華。最近は白い花のものが多く見られるようになりました。澄雄の好きな句。「西国の畦曼珠沙華曼珠沙華」これは赤い曼珠沙華でしょうね。(久恵)

27 7月

2022年7月例会より

かるがも俳句会 2022年7月21日(木)、石神井庁舎


ざりがには雨を味方に威嚇する

緑陰に見物も居てへぼ将棋

浴衣着て後れ毛なほす十五才

夜濯や夕星あげし西の空

夕立や相合傘で駆け抜けり

炎昼や影を引きずり人歩む

墨染の膝を丸めて棚経に

ドクダミの茂りし庭に猫の墓

目覚めてもひとりなりけり鉄線花

終活の動き見えぬ子葱坊主

明け易し午前三時のバイク音

水中花近くて遠き女夫かな

(次回例会は8月18日、石神井庁舎5階第3会議室です)

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


久しぶりに、JR武蔵野線に乗った。新秋津から東所沢の一駅で約4分の乗車である。発車のベル。動き出す車体の震え。規則正しい車輪の音に、体が左右に引っ張られる揺れは心地よい。線路脇の土手の緑が勢い良く目に飛び込んでくる。知らない間に幼い頃のように窓におでこをくっつけていた。窓に映る顔は歳を重ねた自分であった。これは記憶の1ページになるに違いない。JR武蔵野線、感謝‼「武蔵野線土手の緑や梅雨晴間」(洋子)

22 6月

2022年6月例会より

かるがも俳句会 2022年6月16日(木)、石神井庁舎


移り気と言ふ花言葉手毬花

信濃路の回向柱や夏の空

サンドレス身体に合はせ旅心地

西日射す畳も恋も褪せにけり

茅の輪くぐり過去の自分と訣別す

葉の上のト音記号や蝸牛

ここが加賀百万石の青田かな

夕闇に月下美人と小糠雨

太陽と競ふ真紅の立葵

試合終へ円陣くみし子等に汗

ウィルスも黴も永らふ水の星

幅狭き参磴百段額の花

忙しさがいまだ生きがひ花菜漬

(次回例会は7月21日、石神井庁舎5階第3会議室です)

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

水村 洋子

猪越 紀子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


過日読んだ新聞の記事に次のようなことが載っていた。夫を不慮の事故で亡くした主婦が弁当屋さんを開業しているが、仕事が一段落した午後2時頃になると、その日にあった出来事や気が付いたことを、簡単な俳句にして亡くなったご主人に語り掛けるように詠むようになった。そのことが毎日の楽しみになり、張り合いになっているとの記事であった。早朝からの仕込み、料理盛り付け、販売など多忙な時間を過ごした後のほっと一息つけた時にふと胸に感じたその日の思いを亡きご主人に報告するように句に託しているのは、けなげなことだと思った。花鳥諷詠を読むのも良いが、この方のように日常を読むのも大切な句作りだと改めて思った。(幸太郎)

31 5月

2022年5月例会より

かるがも俳句会 2022年5月26日(木)、石神井庁舎


朝露の葎の中の小宇宙

山登り妻に差し出す無骨な手

初蝶の去るは和音を奏でつつ

半夏生普通に生くること難し

路地裏に撒いて日向の水匂ふ

神木を抱けば子ならふ山わらふ

交番に迷子の姉妹走り梅雨

母の日の花束にメモ癖字なり

柿若葉窓辺の猫の伸びし足

そら豆の翡翠の色も味のうち

やまぎわに五月の風の吹き渡る

陽光の跣足蹴り上げベビーカー

一群の都忘れや戦跡

空一枚畑一枚や麦の秋

(次回例会は6月16日、石神井庁舎5階第3会議室です)

早川 厚

外山 正枝

井筒 亨

原口 久恵

水村 洋子

猪越 紀子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


「鯉のぼり欲しいと泣くや孫娘」の句の孫娘は実は昔の私です。女の子にも鯉のぼりと叫ぶ幼子は今は男の子にはイクメン雛をと願う老女です。幼子が老女になる年月に人類は月に行くほど科学技術が進歩しましたが、残虐な戦争は無くならず尊い命が毎日失われていくことを止められません。「子供の日」は子供たちが永遠に平和で平等な世界に生きられるよう祈り、実現できる真の「大人の日」にしたいものです。(紀子)

27 4月

2022年4月例会より

かるがも俳句会 2022年4月21日(木)、石神井庁舎


入学児正装のまま砂遊び

目がギョロリ空でみえ切る鯉のぼり

両手あげぐっと呼吸や花万朶

甘藍を丸ごと蒸して農家めし

釣竿は尺取虫のスカイウエイ

桜鯛焼かれて膳で無念の眼

運針の妻のまどろむ春の昼

桜蕊降るグランドの父兄席

麗かや猫の昼寝と伏せし本

藤房や明日のわからぬこの世界

ふらここや幼き妹は母の膝

主なき厨の鍋や花は葉に

一列に参道登る遍路笠

魚屋の大き俎板春の蠅

(次回例会は5月26日、石神井庁舎5階第3会議室です)

早川 厚

外山 正枝

井筒 亨

原口 久恵

水村 洋子

猪越 紀子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


入会してから3度目の当番です。かるがも句会が発足してからもうすぐ20周年目になりますが、私はいつになってもうろうろしています。既に桜前線は北の地へ移りましたが、石神井公園の満開の時期に一人で見るのはもったいない限りの出会いでした。公園を一巡りして行った時「自称庭師のおじさん」が公園の清掃していました。砂遊び場、ラジオ体操、太極拳の集い等々当たり前のように利用していましたが、ご近所の方々に支えられ守られているお陰様だったことに気付きました。おじさんにお礼を申しあげ、久しぶりに美味しい空をお腹一杯に吸い込んだ気持ちの良い朝の散歩でした。先生には長きに渡りご指導いただいておりますことに心よりお礼申し上げます。「三椏の花三三九三三九 稲畑汀子」(とく)

27 3月

2022年3月例会より

かるがも俳句会 2022年3月24日(木)、石神井庁舎


てかてかのセーラー服や卒業す

バイバイを言ふ間に消えししゃぼん玉

春日影ほこり気になる窓辺かな

ものの芽の雨のきっさき光りけり

金縷梅にそそのかさるる旅心

三才の記憶は桜と母の笑み

桜湯をすする父親影さびし

春光が膨らみ人が老いてゆく

築山に重ねるごとく梅の花

太巻きは祖母の味だね春休み

ハンガーと色を合はせて春の服

折り紙の古き雛出す母のゐて

山笑ふ家みな似たる新開地

天地の神を起して野焼かな

(次回例会は4月21日、石神井庁舎5階第3会議室です)

小川 喜久代

早川 厚

外山 正枝

井筒 亨

原口 久恵

水村 洋子

猪越 紀子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


「ウエスト・サイド・ストーリー」のミュージカル映画を見た。数十年前、学生時代に見た折の感動は、色の斬新さと歌の美しさダンスの素晴らしさに酔ってしまったことでした。今回もとっても素敵でした。歌に踊りにアメリカの下町の様子がよく描かれていたと思います。でも何かが違っていた。私が年老いた分、若者の目線で見た感動ではなく大人の目線で見ていたことです。若者の命が互いの喧嘩のために、また恋敵のために命を失ってしまう残念さや簡単に若い命が失われる悲しさが心に残ってしまいました。でも素晴らしいミュージカルだと思います。楽しいひと時でした。(瑠美子)