28 5月

2023年5月例会より

かるがも俳句会 2023年5月25日(木)、石神井庁舎


亡き妻を忍ぶや庭のクレマチス

手毬花手押し車で髪切りに

葉桜や女三人ボート漕ぐ

流れこむ水さやさやと青田風

薔薇園の高き香りや些事忘る

雨蛙驟雨に声をのせにけり

竹の子の渋き色持て生まれ来し

山の端に雨の気配や立葵

ひもとける野の花本のきららかな

ドクダミの白暖かし朝の白湯

歩くたび素足よろこぶ畳かな

藤棚のベンチに恋の始まりぬ

葉ばかりの苺や母の土いぢり

空豆の青きをつまむ丹塗り箸

夏祭身を反る枹の大太鼓

(次回例会は6月15日、石神井庁舎5階第1会議室です)

多田 克己

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎  
    
鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


30 4月

2023年4月例会より

かるがも俳句会 2023年4月27日(木)、石神井庁舎


去りがたし藤の花咲く里の山

田打終へ大地で開く握り飯

鈴蘭の一輪づつに風わたる

ラテアート見るやほぐるる花疲れ

桜蕊降る大きこぶ太き幹

舌先でしゃくるアイスや恋知らず

囀りや古刹静かな石畳

春だねと虎にも語り餌をやる

桜しべ降る棺の中で姪子眠る

春場所の幟の奥の大阪城

いっせいに諸手を挙ぐる新緑樹

緑陰の切株に聴く山の音

盆栽の爪切るやうに剪定す

かすがいになるかもしれぬ子猫抱く

極楽はこんなものかと朝寝かな

(次回例会は5月25日、石神井庁舎5階第3会議室です)

多田 克己

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


22 3月

2023年3月例会より

かるがも俳句会 2023年3月16日(木)、石神井庁舎


三宝寺甍に四温の陽が跳ねる

大の字に背伸びのベンチ木の芽風

糠床の野菜ささやく春だ春

春の雪逢いて解けゆくわだかまり

鷽替や亀戸天神絵馬の束

六体の地蔵紫雲英の首飾り

おでこから駆け出す園児春の風

子ら巣立ち仔犬飼ひたり名は翔平

古刹よく掃かれてをりし竹の秋

春風に花びら誘ふ狩野川

両岸の開花に差あり桜川

筑波嶺を一望にして花菜摘む

子はすでに一人の大人柳絮とぶ

装束を解きて一息遍路宿

シャツ1枚干して春日のサンルーム

(次回例会は4月27日、石神井庁舎5階第3会議室です)

多田 克己

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


24 2月

2023年2月例会より

かるがも俳句会 2023年2月23日(木)、石神井庁舎


制服で見し大宰府の梅遥か

春の闇揺れ始めたる左舷灯

物価高当たるとこなし鬼は外

鍋物のやはらかき湯気長閑なり

囀や絶えず一枝の揺れてをり

菜畠の道なき道は近まはり

風光る空に近づく観覧車

まどろみに亡き母と会ふ春ごたつ

レモネードの味と香りを冬の朝

張板をすべり台にし春よこい

弧にあらず個を大切に生きて春

土びなの雑多に並ぶ店の棚

日脚伸ぶ紫煙に影ある喫茶店

木の芽風さざなみ満つる鳰の湖

腰下す地にぬくもりや福寿草

(次回例会は3月16日、石神井庁舎5階第3会議室です)

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


3 2月

2023年1月例会より

かるがも俳句会 2023年1月26日(木)、石神井庁舎


初詣長き石段膝笑ふ

編み方を忘れし母と毛糸編む

裸木のその脱ぎっぷり比丘尼寺

障子張り手慣れた母のすまし顔

もみ殻の上に逆さの寒卵

われ卒寿普通に生きて冬麗

電線に鳴く夜の孤独大寒波

老いた背を吾子に委ねる初湯かな

年惜しむ湯宿の猪口は九谷焼

ゆるゆると包丁研ぎし年用意

寒雀柴又駅の屋根に二羽

雪女わたしの中に少し居て

宝珠持つ地蔵に溢るる初日かな

働いたこの手湯舟に大晦日

雪しんしん炉端話は恐すぎる

欄干に死にたい女初芝居

(次回例会は2月23日、石神井庁舎5階第6会議室です)

多田 克己

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


22 12月

2022年12月例会より

かるがも俳句会 2022年12月15日(木)、石神井庁舎


凍る夜の独り夕餉や鍋の湯気

大空にスーラの点描万の柿

着ぶくれて三日坊主のランニング

切り分かつ妻なき夜の聖菓かな

青空をつかむ勢ひ実南天

吾子の手に今朝の寒きを計りけり

校長が子ら出迎へる雪しまき

ふる里の昼の温みや吊し柿

オリオンを置き去りにして「きぼう」ゆく

冬の日の背にはりつく散歩かな

吹き溜まり枯葉寄り添ふごとくあり

空っ風低空飛行のレジ袋

お下がりの靴に兄の名冬ぬくし

(次回例会は1月26日、石神井庁舎5階第6会議室です)

多田 克己

早川 厚

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


十二月の初めに、東京都区現代俳句協会の四十周年記念大会へ二十句出句するために明治神宮へ出かけた。東京はコロナが増えているというのに外国の方が多いのに驚いた。小春日の天気に恵まれ、少し遅い七五三や結婚式など大勢の人で賑わっていた。また、旅行ケースを引いたお稽古かお茶会かの若い女性も足早に通り過ぎて行った。御手洗でアメリカ人らしき若者二人が手に水をかけていた。この様な光景を見ていると日本ってなんと平和なんだろうと思ってしまう。気を取り直して、明治神宮御苑を回り、本殿にお参りした後、西神門から宝物殿方面へ出て、枯芝に座り暫し青空を眺めた。何とか二十句を完成させて出句した。さて、来年の結果が楽しみである。(たかし)

20 11月

2022年11月例会より

かるがも俳句会 2022年11月17日(木)、石神井庁舎


校庭はポプラ色づく丘の上

保育所の窓いっぱいにクリスマス

菜を洗ふ手もて火を挙ぐ寒さかな

空調に暦がゆれておでんかな

大江戸のべったら市の嗄れ声

新しき畳の青の寒さかな

一茶忌と言うて酒宴となる句会

天高し嫁ぐ娘の薩摩つげ

柚子たわわ見上げる子の歯みそっ歯だ

長き夜の小説いよよ面白き

冬帽子姉に似てくる背格好

落葉踏む静寂のなかの音軽し

金網に鼻出す牡鹿息荒し

(次回例会は12月15日、石神井庁舎5階第3会議室です)

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

堀江 康子

今村 たかし


エクアドル、スペイン語で「赤道」を意味する南米の国。南北半球を自らの足で跨げる数少ない場所です。ここへ円借款プロジェクトで約三年通いました。二〇二〇年、退職と同時に五輪があり、偶然にも練馬区がそのエクアドルのホストとなった為、何等かのお手伝いをと意気込んでいましたが、コロナ禍で全てが遁ズラ。以来、基本、家でぶらぶらの毎日ですが、かるがも句会を知り、意欲再燃。今では、俳句再挑戦が大切な生き甲斐のひとつとなっています。駄作は承知の上で、先ずは一日二句創る事を心がけています。(厚)

23 10月

2022年10月例会より

かるがも俳句会 2022年10月20日(木)、石神井庁舎


秋澄むやベンチに肩寄す老二人

いくたびも読み返す文月仄か

往還に角打ち見つけ秋の里

仏壇に朝日さしこむ秋うらら

山蘆忌の四囲の連山しづかなり

仰向けの案山子大の字青き空

秋高し白球一打は弧を描き

蜻蛉の影透き通る石の上

ファインダーの富士を横切る秋茜

野分去り延命地蔵に五円玉

虫の声そろそろ人は夢の中

彼岸花ふいに咲きけりそこかしこ

橋守の地蔵を飾るからす瓜

手紙出す金木犀の香に押され

淋しくて人恋しくて月見酒

大地守る案山子に雨のとどめなし

(次回例会は11月17日、石神井庁舎5階第3会議室です)

多田 克己

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


最近は新聞の小さな記事を音読しております。気になった一つを紹介します。高校から7年間新聞配達をしていた青年の話です。ある家の女性は、元旦にだけ玄関で待っていて「大変だね」と手にお年玉をのせてくれました。今春、彼は初任給で買った菓子折りを手に挨拶に来たが、彼女は入院中でした。娘さんから青年の話を聞いたお母さんは、涙をこぼして喜んだそうです。夜明け前から働く苦学生と優しい心遣いで支えた女性の心温まる記事でした。(正枝)

16 9月

2022年9月例会より

かるがも俳句会 2022年9月15日(木)、石神井庁舎


棒切れにすがる重さの秋の蟬

サンダルの肌色の爪リズムとる

駄々っ子にぢいぢ手を焼く夜店かな

さりさりと一日の褒美梨齧る

風死すやをちこち点る市井の灯

横文字の新聞尾花を包みをり

新蕎麦や古き構への床柱

メス止めて汗拭かせをり手術室

秋風や窓辺の猫におはやうさん

満月に亡き人の顔重なりぬ

畑中の蜻蛉風に逆らはず

露草や光とらへしレンズの眼

雲一片秋の気満つる法の山

秋つばめ空の広さの限りなし

(次回例会は10月20日、石神井庁舎5階第3会議室です)

中村 麻子

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

千味 幸太郎

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

熊谷 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


令和二年九月にNHK俳句で放送した対馬康子先生のユニークな作句法「五段とばし」を紹介します。テーマは「心を詠む」で、ゲストの加藤諒さんのウクライナ海外詠です
一段目:原句        炎天や肉屋の前に野良犬ら
二段目:表現を整える    炎天や肉屋の前に野良犬と
三段目:設定を広げる    炎天や影あるところ野良犬と
四段目:違った物と取合せる 炎天や踊る野良犬恋人も
五段目:見えない世界へ   朝焼けの鋭(と)くたまゆらの犬走る
「野良犬」がキーワードです。一つの句を五つに作り変える対馬先生の独特の作句法です。俳句作法柔軟体操で感心しました。(亨)

21 8月

2022年8月例会より

かるがも俳句会 2022年8月18日(木)、石神井庁舎


時報後のしじま八月十五日

手花火やまだ爆ぜやうとする命

鼻緒ずれ笑顔に隠す夏デート

血圧を測る日課や秋来る

みはるかす乗鞍岳へ花野径

小坊主の姉さん被りかき氷

花火舟彼岸の人の恋しけり

駄々っ児を抱き寄する母さるすべり

夕立や軒先めざす下駄の音

蝉時雨と言へるほどの声となり

風鈴に広ごる闇の四畳半

役者絵の団扇片手に夕散歩

ついと来て信号無視の赤とんぼ

(次回例会は9月15日、石神井庁舎5階第3会議室です)

豊島 月舟斎

早川 厚

外山 正枝

原口 久恵

井筒 亨

水村 洋子

猪越 紀子

鳥居 とく

長束 瑠美子

渡部 良子

野々村 桂

堀江 康子

今村 たかし


夏の季語に朱夏があるように、夏には赤を配していますが、秋は白秋・白帝等白い色に変わります。いかにも涼しげです。花は夫々複数の色の花をつけるのが多いですが、私は秋の白い花が好きです。例えば、木槿、白芙蓉、秋桜、白菊等いかにも清楚で、 日本人ごのみです。白萩。「白萩のしきりに露をこぼしけり」子規の有名な句です。水引の花で白い花をつけるのは銀水引と言うそうです。そして曼珠沙華。最近は白い花のものが多く見られるようになりました。澄雄の好きな句。「西国の畦曼珠沙華曼珠沙華」これは赤い曼珠沙華でしょうね。(久恵)