2021年2月例会より
かるがも俳句会 2021年2月18日(木)、石神井庁舎
香りたつ野蒜の酢みそ頬ゆるむ 背を丸め春は名のみと口ずさむ 青写真ぬしは坂東妻三郎 斑雪旅の途上の身延線 床一面「希望」の大文字書き初め会 身半分空に預けて剪定す 春眠や妻の愚痴さへ子守歌 鬼豆を踏みしめて知る年男 春風に入相の鐘深大寺 水仙や朝の厨に香を放つ トラックを走る少女の春めきて こぼれ芽や受験生は土の中 わだかまりまでもほぐるる日向ぼこ 四囲の山煙る近江の春時雨 草萌にころりと止まる打球かな |
外山 正枝 安藤 よしたか 井筒 亨 原口 久恵 水村 洋子 千味 幸太郎 猪越 紀子 鳥居 とく 長束 瑠美子 渡部 良子 熊谷 良子 野々村 桂 宮田 敏子 堀江 康子 今村 たかし |
例年、立春を過ぎると近くの植木畑が気になる。散歩の度に畑の木瓜の木を観察するのだ。数日後、固かった蕾の微かなふくらみを見つける。胸が高鳴る。すると柔らかな光の中に数輪の赤や桃色の花が咲いていた。「寒さに耐え抜いた花は美しい」。感じたままを一句・・・いやいやそう簡単ではない。植木屋さんの白壁の塀と木瓜の花の対比は郷愁を誘う。この風景は私の最っとも待ち望んだ嬉しい春一番の頂きものである。(洋子)