2017年5月例会より
かるがも俳句会 平成29年5月18日(木)、ふるさと文化館
山二つ遠くにおきし青田かな 可も不可もなくて二人の春の旅 むらさきの鉄線の色母の色 金雀枝や父母の待つ家明り 槍穂高まだ薄化粧の山開き 野菜苗植ゑて私の黄金日 ざはざはと足音耳に花疲れ ゴールデンウイークの今年も残業だ 逝きし妻に今日も供へる柏餅 緑陰や社を守る幹太し 気負なくてらひもなくて著莪の花 春眠の嬰のあくびに欠伸かな 著莪の花越後の里へ峠越 散歩する翁と猫と春の畦 戸隠の余花や異界に咲きにけり うつかりと笑つてをりぬ烏賊の墨 雲一辺美濃路に声の揚ひばり まろび出て花粉まみれの熊ん蜂 母の日の花の大箱もて余す |
千味 幸太郎 宮田 敏子 倉島 恒子 野々村 桂 鈴木 芳江 渡部 良子 鳥居 とく 山田 輝子 伊賀 篤志 馬場 美智子 高橋 武司 森永 順子 柴田 ミチ子 長束 瑠美子 猪越 紀子 伊勢 史郎 堀江 康子 国岡 博子 今村 たかし |
東京では桜もすっかり青葉となってしまったが、北の原野では春が始まったばかりである。固く積もった雪の下でチョロチョロと雪解け水の流れる音が聞こえ、真っ先に雪が解ける川辺には様々な緑が萌えだす。やがてすべての雪が消えると、まるで原野の生命が甦るかのようにあらゆる緑が芽を出し、水辺の水芭蕉が白い苞と緑の葉を見せ始める。中には巨大になるものもあり、尾瀬の水芭蕉のようにかわいいとかロマンチックといったイメージと全く違うものとなる。桜が咲くのは5月の中旬か下旬。そして、春の花も夏の花も一斉に咲く北海道東部の遅い春は、まるでため込んだエネルギーを爆発させるかのように短い夏に向かって行くのである。(W.良子)