かるがも俳句会 2019年3月21日(木)、石神井公園区民交流センター
- 春眠や青年脱皮するごとく
- 野々村 桂
- 断崖に根付く緑や風光る
- 森永 順子
- やどかりや島を去る人戻る人
- 鳥居 とく
- 下駄箱に春の泥あるクリニック
- 千味 幸太郎
- 団欒の温みほころぶチューリップ
- 中村 あさ子
- 菜の花の上に菜の花色の月
- 渡部 良子
- 菜の花のからし和え置くカウンター
- 長束 瑠美子
- 春光や大鷹巣づくり始まりぬ
- 倉島 恒子
- 桜満つ歩幅大きく子の発てり
- 宮田 敏子
- 春塵の渦巻く中へ路線バス
- 堀江 康子
- 階の大山寺や桜まじ
- 今村 たかし
季節は少し戻るが、積もった雪の上をスノーシューで歩くことが人気であると聞く。ふだん入って行けない林の中なども歩くことができ、あたりの景色は一変するので喜ばれるのであろう。北海道東部での子供時代、冬に雪の上を歩くのはごく普通のことであった。積もった雪の表面が昼間にとけて夜に凍ることで硬くなり、真冬には歩いても大丈夫になるのだ。スノーシューなどなかったが、子供たちは「固雪渡れ」と言って雪の上を歩くことを楽しんでいた。雪の上に立つと急に背丈が伸びたようでうれしく、喜々として林の中などに入り、枯れたサビタの花や大きな谷地坊主(やちぼうず、植物)を見つけるものであった。雪上を歩けなくなると春が近づくのだが、道東の桜が咲くのは5月、東京より2ヶ月もおくれて満開を迎える。ほとんどがえぞ山桜であるが、花色は淡すぎず濃すぎず、これが本当の桜色であると私は思っている。((W・良子)