かるがも俳句会 2021年3月18日(木)、石神井庁舎
- 不揃いのぼたもち旨し彼岸かな
- 外山 正枝
- ポンポン船青き波切る春休
- 井筒 亨
- 癒さるる「は」行の笑ひ風光る
- 原口 久恵
- 嵩上げの土手に不揃ひ土筆かな
- 水村 洋子
- 父の名に苔むす墓詩や寒椿
- 千味 幸太郎
- 若き日の母の顔なり享保雛
- 猪越 紀子
- さくらんぼもぎたての手のぬくみかな
- 鳥居 とく
- 春の風サイクリングをママチャリで
- 長束 瑠美子
- 水芭蕉原野に音の還りけり
- 渡部 良子
- 耕人の腰に流るる流行歌
- 熊谷 良子
- ぼた餅の不出来を詫びて供へけり
- 宮田 敏子
- 黄水仙独りは気楽寂しさも
- 堀江 康子
- まずなでて春大根を輪切にす
- 今村 たかし
例年、立春を過ぎると近くの植木畑が気になる。散歩の度に畑の木瓜の木を観察するのだ。数日後、固かった蕾の微かなふくらみを見つける。胸が高鳴る。すると柔らかな光の中に数輪の赤や桃色の花が咲いていた。「寒さに耐え抜いた花は美しい」。感じたままを一句・・・いやいやそう簡単ではない。植木屋さんの白壁の塀と木瓜の花の対比は郷愁を誘う。この風景は私の最っとも待ち望んだ嬉しい春一番の頂きものである。(洋子)