かるがも俳句会 平成28年9月15日(木)、石神井庁舎会議室
- 雁坂を越せば蛇笏の甲斐は秋
- 高橋 武司
- 落蝉や悩み抱へる事をやめ
- 野々村 桂
- 灯を消して月を間近に良夜かな
- 馬場 美智子
- 寺町の蝉の一途に鳴く真昼
- 柴田 ミチ子
- 秋草に水玉のこし雨あがる
- 熊谷 良子
- 行列に鴎も加へ夏祭
- 渡部 良子
- 透明なルビーの如くざくろの実
- 長束 瑠美子
- 夜半さめて木の葉舞ふ音秋近し
- 鈴木 芳江
- カーテンのゆれて日の入る秋気配
- 杉本 康子
- 鮎は落ち朽木の谷は染まりゆく
- 伊賀 篤志
- 公園の秋の木蔭に人つどひ
- 鳥居 とく
- 白桃を吸うて卒寿の母の笑み
- 堀江 康子
- われにある悪女ちよつぴり酔芙蓉
- 国岡 博子
- 遺言はまだ思案中秋扇
- 今村 たかし
旅が好きです。今までは内外の美しい景色や珍しい文化・芸能を見に行く旅でしたが、近頃は年のせいか「仏旅」に参加するようになりました。奈良や京都は当然ですが、奥琵琶湖に心引かれます。数奇な運命を辿りながらも里人に守られ、暮しに寄り添ってきた仏様は素朴でなんとも云えぬ慈愛に満ちています。私は特に石道寺の十一面観音様に心を奪われました。薄暗い小さな粗末すぎるお堂に入って対面した時、思わず涙が溢れて止まりませんでした。その可愛いお顔立ちと優しいお姿に心が救われる思いでした。時間の許す限り手を合わせていました。「なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる(西行)」をまさに実感した一日でした。(H.康子)