かるがも俳句会 平成27年5月7日(木)、別所沼公園吟行
- 芽吹く下ゆるり母娘の車椅子
- 鈴木 芳江
- 釣れますかなどと問ふまい春の沼
- 伊賀 篤志
- 新緑の盛り上がる樹の匂ひかな
- 馬場 美智子
- 笛の音の耳にやさしき夏に入る
- 杉本 康子
- 新緑にかな女の句碑の静まれり
- 渡部 良子
- 夏空のビルと競ふや落羽松
- 熊谷 良子
- たんぽぽの綿毛ふはふは夏はきぬ
- 原田 寿恵
- 池の端柳はいまだ枝垂れずに
- 堀江 康子
- さつき咲く池畔に小さきかな女句碑
- 国岡 博子
- 初夏の池に浮輪の救命具
- 今村 たかし
春の吟行は別所沼公園だった。埼京線中浦和駅の殆ど目の前にあり、市民の憩いの場所となっている。公園内には長谷川かな女句碑、神保幸太郎詩碑がある。春の桜、梅雨期にはアジサイ、秋は紅葉、冬の枯木林と四季それぞれの風情は句材をふんだんに与えてくれる。沼の弁天島を背景にジーゼルを立てている素人画家も多いと聞く。参加者十名は公園に着くと、帰りの集合時間を決めて、広い園内を三々五々に散策、句作りする。別所沼は一周約一キロあり、湧水と天水の豊かな水量にメタセコイヤが植えられ、巨木となって力強い若葉の季であった。一本ある鬱金桜はもう散っていた。それぞれの思いを句に、池袋の「ルノアール」へ移動、軽食の後いつもの句会となった。吟行の会を重ねる内に、要領を得た句もふえて楽しめる。私は今回園にあった「風の神」という、へんてこりんな像を一句にと格闘してみた。季語に一寸困ったが、出来てみれば達成感があり、快い季節のあっという間の一日だった。「像にして風の神とよ上着脱ぐ」(博子)